
9月15日~16日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備制度理事会)は全会一致で政策金利であるFF金利の誘導目標を0.25%引き上げ、3.75%~4.00%にすることを決定した。FOMC後の記者会見でウォーシュ議長は、長引くインフレと経済の堅調さ、そして金融環境が未だ引き締め的ではないことについて言及した。経済を理解していない大統領からの圧力によって中央銀行の中立性が懸念されるなか、ひとまずFRBは妥当なアクションをとったのではないか。当然の判断(だから全会一致)とも言えるが、何が起こるか分からないのが今のアメリカである。
一方、日本銀行も9月17日~18日に開催した金融政策決定会合において、政策金利を1.0%~1.25%へ0.25%引き上げる利上げを決めた。事前予想通りではあったものの、6月会合に続く利上げとなり、これまで半年程度の間隔で慎重に利上げを進めてきた日銀が3カ月間隔で利上げをすることの意味は大きい。金融正常化に舵を切ったこと、そして物価上昇率が目標の2%を超えて上振れるリスクに対して強い警戒感を示した形である。
アメリカのベッセント財務長官は8月30日、植田日銀総裁に対して「正しい行動をとる」と期待を表明するなど、内政干渉とも捉えられかねない踏み込んだ発言を行った。「私が胴元だ」などと財務長官らしからぬ発言もみられるが、背景には、日本の利上げ加速に伴う日米金利差の縮小による円安ドル高の解消、そして日本による米国債売却とそれに伴う米長期金利上昇を回避したい狙いがありそうである。
また、欧州中央銀行(ECB)も9月10日にベルリンで開催した政策理事会で、2会合ぶりに主要政策金利を0.25ポイント引き上げた。これにより、9月は日米欧の中央銀行が揃って利上げを実施する格好となった。世界経済の見通しは依然として不透明であり、ホルムズ海峡を巡る緊張状態による原油価格の高止まりも、世界的なインフレ要因となっている。
2025年を節目に世界経済の構造自体が大きく変化したと感じているが、今後の経済動向はまさに予測不能と言えるだろう。
このような先行き不透明な時代において、投資家としてどのように捉え、行動すべきなのだろうか。
私は今こそ、資産運用の基本や原理原則へと立ち返ることが極めて重要であると考えている。
当社のお客様からも日々、世界経済やマーケットに関するご質問をいただくが、将来を予測することは不可能である。また精度の低い予測に基づいて投資判断を行うべきではない。コントロールできないことに思い悩むよりも、自分が実行できることに集中すべきである。
自身のリスク許容度を正確に把握し、適切な目標利回りや資産配分、ポートフォリオを構築したうえで、長期分散投資を淡々と実行することが求められる。
残念ながら多くの投資家はリターンばかりに目を向けがちである。もちろんリターンも重要だが、資産配分やリスク、流動性、そしてポートフォリオの具体的な中身を点検することのほうがはるかに重要なのだ。
特にマーケットの変動が大きい局面では、人間は感情を平常に保つことが難しくなり、誤った投資行動をとってしまいやすい。資産運用を成功させるためには、感情に任せた意思決定を避けることが不可欠である。平静を保ち、あらかじめ策定した運用戦略に基づいて投資をたんたんと継続することが大切になる。当社のお客様を振り返っても、10年以上の投資経験を持っている人はほとんど一喜一憂することはない。一方で、投資経験が浅い人ほどマーケットに感情を揺さぶられてしまいやすい傾向がある。最初から冷静さを保てる方もごく稀にいらっしゃるが、それは非常に限られた例と言える。
資産運用は、正しい方法で長期にわたり実践することで確実にそのリテラシーが高まっていく。最初は手探りの状態からスタートしても、5年、10年と経つうちに、私のお伝えしていることの真意が徐々に実感できるようになるはずだ。
これから資産運用を上手に取り入れて人生をより豊かなものにする人と、間違った手法で失敗し、生活を破綻させてしまう人。人生100年時代となり資産運用できる期間が長くなったからこそ、両者の明暗は今後ますます大きく分かれていくことになるだろう。
予測不能、言い換えると不確実であるということは、リスクそのものである。長期で適切なリスクをとった投資家にはご褒美として大きなリターンが生まれるのである。