株式会社スノーボール

2つのバブル懸念

2007年8月にIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)としてのキャリアをスタートさせて以来、今月で20年目の節目を迎えた。この20年間を振り返ると、世界経済とマーケットは順風満帆とは言い難く、危機の連続であった。

この20年で世界は大きく変容した。製造業を主軸としたグローバリゼーションは終焉を迎え、現在はAI革命が進行中である。世界の時価総額上位は、M7やエヌビディア、TSMC、SKハイニックス、ブロードコムといったAI半導体・ハイテク企業が独占している。日本でもキオクシアやソフトバンクなどが上位に顔を出すようになった。AI半導体関連の株価上昇が日経平均を押し上げ、サムスンやSKが韓国KOSPIを、TSMCが台湾加権指数を牽引するという構図が鮮明である。つまり、AI半導体関連企業の株価変動が、各国全体の株価指数を大きく左右しているのである。

2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻から4年半が経過した。2024年に誕生したトランプ政権の悪政の影響も大きいと思うが、世界的なインフレは収束することなく高止まりしている。

もはや世界最弱の通貨と言っても過言ではないが、円安に歯止めがかからず、一時164円に近づき日米協調介入に至った。米国にとっても、同盟国である日本の通貨安や財政リスクに起因する金利上昇が米国債売りへ波及することを警戒し、日本に同調する形となった。

しかしながら、円安の根本的な解決には至らず、為替介入後もじりじりと円安が進行している。ホルムズ海峡を巡る中東の緊張も長引いており、ロシア・ウクライナ戦争も泥沼化している。現在の世界経済とマーケットは、依然として不透明なままである。

最近のマーケットを俯瞰すると、2つのバブル懸念が浮かび上がる。もちろんバブルはいつ弾けるか予測不能であり、状態が長期化する可能性もある。

一つ目は「AIバブル」である。AIが社会に浸透することは確実であるが、AI半導体関連へ投じられる資金はあまりに巨額である。各社の資金調達手段は複雑かつ歪であり、一度資金サイクルが滞れば金融危機を引き起こしかねないという潜在的リスクを内包している。

ソフトバンクGは、1兆円の個人向け社債を発行し、AI革命の勝者となるべく、オープンAIに巨額の集中投資を行っている。個人的にソフトバンクGの社債に投資をする気にもならないが、投資の本質を理解していない投資家がたくさんいることで社債が売れてしまうという現実があるのだろう。

二つ目は「インデックスバブル」である。これまでも指摘してきた通り、機関投資家や多くの個人投資家のマネーがインデックスファンドに集中しており、過剰投資がバブルを生んでいる構図である。これは日本のみならず世界的な現象である。例えばS&P500や全世界株式(オルカン)連動ファンドへの資金流入により、構成銘柄は業績の良し悪しに関わらず画一的に買われ、株価が吊り上がる。逆にインデックスから外れた銘柄には買いが集まらず、下落しやすい。インデックス運用自体を否定するわけではないし、インデックスファンド自体は、素晴らしいツールである。市場の主流でなかった時代には非常に有効な手法であったが、今やインデックスファンドが市場の中心となり、インデックス運用そのものがバブルを助長するという皮肉な状況が生まれているのである。

かつてのオランダのチューリップバブルや日本の不動産バブル、近年の暗号資産(ビットコイン)と同様、本質を理解せぬまま「何となく儲かりそう」という心理で資金が流入し、価格が膨れ上がっているのが現状である。

「S&P500やオルカンを買っておけば大丈夫」「米国債なら確実」といった、専門知識を欠いたインフルエンサーなどの言葉を鵜呑みにしてはならない。そもそも真の専門家は、SNSで運用手法を発信できないし、安易に投資して儲かるほど投資は簡単ではないことを理解しているため、無責任な情報発信はしないのだ。

資産運用は決して単純なものではなく、過去の実績が将来の成果を保証することもない。今一度、我々ファイナンシャルアドバイザーを含め、すべての投資家は謙虚な姿勢に立ち返るべきである。

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