株式会社スノーボール

中国経済の二層構造化

今や中国は世界第2位の経済大国にまで上り詰めました。中国の名目GDPは約20兆ドルで米国の約30兆ドルに続きます。リーマンショックの回復期を経て、世界の株式市場は米国企業が牽引していますが、ここにきて中国企業が多分野で米国企業を猛追しています。特に中国のEV(電気自動車)メーカー、BYDは世界で販売網を広げ、EV販売台数では米テスラを上回り世界首位になっています。EVの製造にはレアアース等の資源が不可欠です。中国は世界のレアアース生産量の約7割を占めているため、EV生産の追い風となっています。

AI半導体の分野でも中国企業が急成長しています。現在、世界の短期記憶用メモリー、DRAMの市場は韓国のサムスン電子(38%)、SKハイニックス(29%)、米マイクロン・テクノロジー(22%)の3社で約9割のシェアを占めています。近年、中国政府はAI半導体の投資を強化し、国を挙げて注力しています。今年の7月27日には、中国半導体メモリー大手CXMTの親会社が上場し、時価総額は終値で約80兆円に達しました。半導体メモリーの需要は供給を大きく上回り、DRAMの価格は急騰しています。皆さまがお使いのiPhoneの価格にもその影響は及んでいます。このような現状を踏まえ、米アップルはCXMTからDRAMの調達を検討していますが、米マイクロンはこれに反発しています。

中国の半導体メモリーは最先端の韓国や米国のものと比較すると性能で劣るものの、非常に安価であるため、業界トップ企業の大きな脅威となっています。足元でも中国半導体メモリー企業の台頭によって、韓国のサムスン電子、SKハイニックス、米マイクロン、国内半導体メーカーのキオクシアの株価が急落する場面がありました。

米国は中国に対して最先端のAI半導体の輸出規制を行っています。これには蘭ASMLの極端紫外線(EUV)露光装置も含まれます。そのため、中国では旧世代の深紫外線(DUV)露光装置で半導体の製造を行っています。最先端のAI半導体の輸出規制は一見、中国の技術革新を遅らせるのに有効的な手段に見えますが、中国はAI半導体の自給自足を進め、かえって米国をはじめとする国々の脅威になっているように感じます。

先日、北中米W杯が開催されましたが、中国は出場を逃しており、ピッチ上での存在感はありませんでした。一方、ピッチの外に目を向けると、VAR(ビデオアシスタントレフリー)の技術や、スポンサー広告等で間接的に存在感を示しました。また、全48代表チームのユニフォームのうち、中国資本のものが全体の27%を占めていました。

イノベーションという点では、米国が世界を牽引しています。しかし、中国は他国が発明した技術を上手く取り入れ、進化させることに長けています。代表的なものとして、EV、太陽光発電、ドローンなどの技術が挙げられます。

中国国外への輸出は好調で、貿易黒字は昨年から高水準となっています。しかし、全てが順調に推移している訳ではありません。中国国内での消費は伸び悩んでいます。今年4〜6月期の実質GDPは前年同期比4.3%増で政府の目標であった4.5%〜5%の下限には到達しませんでした。中国国内の不動産不況は依然として長引き、深刻なデフレに陥っています。年初からベネズエラやイランなどの友好国も米国と対立し、中国にも大きな影響を及ぼしています。

今回のコラムの内容をまとめると、中国は輸出産業などが堅調に伸び、世界で販売網を広げ、特に韓米のAI半導体企業を脅かしていく存在になりつつあります。しかし、長引く不動産不況やデフレによって中国経済は二層構造化しています。

個人的に、今後も中国の技術革新は多岐にわたって進み、既存のリーディングカンパニーを脅かしていくと思います。直近では韓国総合株価指数(KOSPI)や日経平均株価指数が乱高下していますが、今こそ長期投資を心がけ、良質な投資信託に淡々と追加投資を継続していくことが望ましいと考えます。

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