投資成果=運用金額×(1+運用利回り)運用年数
資産運用の公式から明らかであるが、投資成果は、『運用金額』『運用利回り』『運用年数』の3つで決まる。
1000万円を6%で12年運用すると約2000万になる。(72の法則)
この3つの中で投資家の努力によってある程度コミットできるのは『運用金額』と『運用年数』である。当社のお客さまの多くは、ご自身の努力によって資産形成した上で余裕資金を『運用金額』として、ウォーレン・バフェットが実践しているように『運用年数』は、生きている限り運用する方針である。長期投資を実践する上で最も不確実なのが『運用利回り』である。言い換えると『リスク』があるということである。
この不確実(リスク)である『運用利回り』を決定する要因は3つある。『資産配分』『銘柄選択』『投資タイミング』である。
長期投資において『運用利回り』に最も影響を与えるのは『資産配分』であることは良く知られている。2番目は『銘柄選択』だろう。つまり『投資タイミング』は、運用利回りに与える影響は、3つの中で一番小さいということ。しかしながら、多くの皆さまから一番質問されるのが『投資タイミング』に関することである。
『歴史的な円安の今、追加投資して大丈夫でしょうか?』
『世界的なパンデミックで株が暴落する可能性があるため、一旦売却したほうが良いでしょうか?』
『株が下がりそうだから、下がってから買ったほうが良いと思いますがどうでしょうか?』などなど、『投資タイミング』に関する質問をいただくことは日常茶飯事である。
このような質問が多い理由としては、長期投資の本質を理解していないことからくるケースが殆どである。長期投資の定義は決まっているわけではないが、私自身は10年以上継続する投資を長期投資と考えている。1年間だけ運用するのは投資ではなく投機である。当社のお客さまにおいても経験豊富なお客さまは、『投資タイミング』の影響が低いことを深く理解しており、長期投資をたんたんと遂行(BUY&HOLD)している。一方で投資経験の浅いお客様ほど明らかに『投資タイミング』ばかりを気にしている。長期投資のマインドではなく、そもそも短期志向なのだ。
もちろん世界経済やマーケットが安泰であればそれに越したことはないのだが、現実はそんなに単純ではなく、いつの時代も世界経済もマーケットも問題山積している。日々のニュースや出来事に一喜一憂して、投資タイミングを計って投資をしてもうまくいく可能性は殆どない。世界はいつも様々な問題を抱えているが、歴史を振り返れば世界経済は中長期的に成長し、広義の意味でのマーケットも成長してきた。世界経済が成熟してもその構図は変わらない。世界経済もマーケットも成長していくのは、これまでもこれからも同様である。
長期投資においては、日々のニュースや株価や為替の変動に惑わされないこと、つまりリスクを受け入れる(許容する)からこそ、長期的にはリターンにつながるのだ。リターンの源は、リスクであり、リスクを取らない投資家にリターンはないということである。詐欺にだまされる多くの人は、リスクをとらないでリターンを求める。うまい話に飛びつく人たちが騙されてしまう。リスクとリターンの関係の理解なしに長期投資を成功に導くことは困難である。
為替が160円になろうが、トランプが大統領になろうが、長期投資の成果にはあまり関係ないのだ。適切なリスクをとる投資家にご褒美としてリターンがうまれる。私が一番長く運用をサポートしているお客さまの運用年数は17年である。そのお客様に2007年にご投資いただいた投資信託の基準価額は、3倍以上になっている。リーマン・ショックやギリシャ・ショックなど様々な危機を乗り越え、継続投資したからこそリターンが生まれているのだ。あらためて長期投資においては、タイミングではなくタイム(時間)が大切である。
時間を味方に複利の力を活用して運用することが長期投資で成功する秘訣である。