2026年もあと2カ月余りとなった。2023年から3年間マーケットは大きく上昇してきた。
全世界株式指数MSCI ACWIのリターン(米ドル建てネット)は以下の通りである。
2023年 22.20%
2024年 17.49%
2025年 22.34%
同指数の過去50年平均リターンが7%程度であることを考えると2023年からの上昇がいかに大きいかは明らかである。
過去3年連続の大きな上昇で世界の株価指数は上値が重い展開となっているが、2026年はどうなるのか。
特に2023年~2024年は、円安に推移したためACWIの円建てリターンはさらに大きくなっている。やや円安もピーク水準になっていることや世界経済の状況を考慮すると、2026年は過去3年のようなリターンは期待できないと考えている。
2024年1月に始まった新NISAをきっかけに投資を開始した人たちは、2024年と2025年の上昇を見て「オルカンを買っておけば良い」と主張する知識のないインフルエンサーの言葉をそのまま受け取り、結果的に多くの個人投資家がS&P500やオルカンの積立を行っている。
決して悪いことではないと思うが、知識がないままに投資しているので、マーケットの変動に一喜一憂することになるのである。
NISAをきっかけに投資機運が高まったことは良いことだが、投資で成功することはそれほど簡単な話ではない。
2026年10月現在、AI半導体関連株の乱高下が起きており、AIバブル崩壊の兆候が見られている。オルカンやS&P500指数を押し上げてきたAI半導体関連株の急落は、インデックスファンドの落込みに直結している。
当社は、このようなマーケット環境において、良質なリサーチによる銘柄選択を行うアクティブファンドこそが有効であると考えている。また、株式だけではなく安全資産である債券への投資も有効である。
債券への投資を薦めるインフルエンサーがいないのは、彼らが素人である証拠である。真のプロフェッショナルは、今こそ債券への投資妙味が高いと考えている。もちろん、株式と同様に個別の債券への投資ではない。債券投資においては何よりも分散が重要である。債券のセクターはもちろん、金利、デュレーション、通貨を適切に分散することが大切である。
『金利のある世界』においては、住宅ローンを借りている人や有利子負債の大きい企業にとっては逆風である。一方で、投資家にとっては金利を獲得するチャンスでもある。優れた投資家は、資産配分を何よりも重視する。資産の性質上、株式よりも安全性の高い債券をポートフォリオにしっかりと組み込むことで、ポートフォリオはより強固になる。
世界経済は、依然として不透明な状況である。米国大統領の行動をきっかけとしたホルムズ海峡の混乱、ロシア・ウクライナ戦争の泥沼化、中国経済の減速。そして10月17日には、パリで約55万人がデモに繰り出した。当初は平和的に行われていたデモであったが、やがて全国各地で暴動に発展し、これまでに約2400人が逮捕される事態となった。
2018年のガソリン税増税と生活費高騰に対する抗議活動「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト運動)」の再開が呼びかけられ、2018年以来最悪の事態となっている。来年2027年5月にマクロン大統領は2期10年の任期を終えて退任する予定である。大統領選挙を前にした政治的な思惑はあるものの、フランス国民の生活に対する不満が爆発した形だ。
フランス10年国債の利回り(長期金利)は、約5%と24年ぶりの高水準となっている。ドイツとのスプレッドは一時1.7%に拡大し、これは2011年の欧州債務危機以来の水準となった。
「先進国の国債を買っておけば大丈夫」という時代は終わった。米国債や日本国債を買っておけば安全とは言い切れない時代である。
日本の社会や経済が安定していた時代には日本国債を買っておけば安全であったかもしれないが、今はそうではない。世界経済が順風満帆な時代は、オルカンを買っておけば良かったかもしれないが、今はそうではないと思う。資産運用において絶対的な成功法則はない。
経済の3主体とは、個人、企業、国家である。世の中の変化に適切に対応する個人、企業、国家は、厳しい時代をしっかりと乗り切っていくだろう。
激動の時代においては、『変化への対応』こそが、何よりも重要であると感じている。

