コラム / お知らせ columns / news

新婚旅行で見たイタリア経済

新婚旅行で見たイタリア経済

9月9日〜20日に新婚旅行でイタリアを訪れました。ローマ、フィレンツェ、ベネチア、ミラノ、コモ湖の順に巡り、イタリアの魅力をたっぷり肌で感じることができました。今回は旅の中で感じたイタリア経済にまつわる気づきをお伝えします。

ローマは石畳の街並みや古代遺跡など、とにかく歴史の重みを感じられる見どころが多く圧倒されました。また、街は世界中から訪れる多くの観光客で溢れており、観光業がイタリア経済にどれほどのインパクトを与えているのか調べてみました。イタリアのGDPに占める観光業の割合は10%強と主要な経済基盤であり、雇用の面でも全雇用の10%以上(約250万人〜300万人規模)を支える重要な産業であることがわかりました。

フィレンツェは歴史地区全体が1982年に世界文化遺産に登録されており、「屋根のない美術館」と称されています。高台から眺める美しい街並みは圧巻でした。ウフィツィ美術館では『ヴィーナスの誕生』やレオナルド・ダ・ヴィンチの名作などを鑑賞しました。食事も、名物のTボーンステーキ、郷土料理のランプレドット、赤ワインのキャンティがどれも絶品で、また訪れたい街の一つになりました。

ベネチアでは、水上都市ならではの非日常感を味わうことができました。しかし、自動車が入れないため、すべての物資をボートや人手で運ぶ必要があり、イタリア国内でも特に物価が高く感じられました。実際に引っ越し作業を見かける機会がありましたが、洗濯機をボートで運び、そこから長い距離を担いで運んでいる様子を見て、観光地としての華やかな姿の裏で、そこで暮らす人々の生活を守る苦労を垣間見ました。

ミラノは他の都市とは異なり、行き交う人々の歩くスピードも速く、ファッションと金融の中心地らしい洗練されたビジネス街という印象でした。

イタリアはドイツに次ぐ欧州第2位の製造業大国で、その中心がミラノやトリノを含む北部です。フィアットなどのコンパクトカーをよく見かけましたが、フィアットは北部のトリノで設立された自動車メーカーです。イタリアでは走行している車の多くがマニュアル車であり、欧州でもトップクラスのマニュアル車大国として知られています。道が狭く坂道や石畳、カーブが多いため、自分でギアを選んでコントロールできるマニュアル車のほうが扱いやすいようです。

直近、物価高など生活苦を訴える大規模なデモがフランスを発端として欧州各地で拡大しています。イタリアでも一部が暴徒化し、ミラノ大聖堂周辺の店舗も襲撃を受け、1カ月前に私たちが歩いた街の雰囲気とは一変しています。

背景の一つがエネルギー価格の上昇です。ロシアのウクライナ侵攻以降、天然ガス価格が急騰し、エネルギーの約7割を輸入に頼るイタリアでは電気代が高騰しました。現在も2021年以前と比べて2倍近い水準が続いています。そうした中、9月24日の日経新聞で、イタリアが約40年ぶりの原発回帰にかじを切ったと報じられました。地政学リスクの高まりを背景に輸入に頼らないエネルギー確保を目指す動きです。ただ、新たな原発の稼働は2034年~2035年頃と見込まれており、国民の生活負担が和らぐにはまだ時間がかかりそうです。

コモ湖は、ミラノから電車で約1時間の場所に位置する世界中の富裕層が集まる高級リゾート地です。それまで歴史的建造物を中心に巡っていたため、澄み渡った空気と自然がとても印象的でした。ところが、ミラノへ戻る電車を駅のホームで待っていると、遅延時間がどんどん伸び、ようやく来たと思ったら直前で到着ホームが向かい側に変更されました。多くの観光客と一緒にダッシュで移動し、ホーム内は大混乱となりました。周りの人たちも「これは一体どういうこと?」といった苦笑いを浮かべていて、思わず場が和みました。イタリアならではの洗礼でした。乗車後も途中で行き先が変わり乗り換えが必要になるなど、予想外の出来事が続きましたが、今となっては良い思い出です。

日本にいると周りの人に迷惑をかけないようにと気を遣いすぎてしまうこともあります。イタリアでは「これでいいんだ」と肩の力が抜け、楽観的な気持ちになれました。個人的には、とても生きやすく素敵な国だと思いました。

エネルギーや物価の動きは、遠い国の話ではなく私たちの家計や資産にもつながっています。旅で得た気づきを、これからの情報発信にも活かしていきたいと思います。

一覧へ戻る