株式会社スノーボール

長期投資における債券の役割

「皆様は、債券に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?」

このような質問をすると、多くの方から「あまり資産が増えなさそう」「高齢の方が安全に運用するためのもの」といった回答が返ってきます。かつては、ポートフォリオに組み入れる債券の割合は「自分の年齢」が目安と言われていましたが、最近ではリスク許容度が高い若い世代であれば、債券は持つ必要はないという主張も耳にします。債券に対する意見は様々です。

私個人としては、ポートフォリオに債券を組み入れることで、将来の下落局面に対する備えができ、長期投資を継続する上で安心感につながっています。定期的に入ってくる利息がクッション効果となり、下落局面のあとの回復を早めることが期待できます。また、世界的にインフレが続く現状において、格付けの高い債券でも魅力的な利回りを獲得することができ、守りだけではなく積極的な意味でも投資妙味があると考えています。

近年、世界的な株価上昇局面が長く続いてきました。AI・ハイテク分野の過剰投資懸念や地政学リスクなどといった不透明感はあるものの、AI・半導体関連銘柄が牽引する形で世界経済は堅調に推移してきました。しかし、景気にはサイクルがあります。今後の景気減速局面において、債券はポートフォリオの分散手段として有効です。基本的には、債券と株式は逆相関の値動きをする傾向があるといわれているためです。

一方で、債券投資にはリスクもあります。その一つが発行体のデフォルトリスクです。債券においても、一つの銘柄や特定のセクターだけに集中投資をすることは推奨しません。債券にも様々な種類があるため、複数の債券セクターに分散し、柔軟に資産配分や銘柄選択を修正してくれる投資信託を活用することが賢明だと考えています。

また、金利変動リスクもあります。2008年のリーマンショック以降、農林中金は安全と考えた米国債などの外債投資を増やし、金利低下局面ではリターンを獲得していました。しかし、その後の金利上昇局面で債券価格が下落し、2025年3月期決算で巨額の損失を確定することとなりました。この事例は、債券そのものが悪いのではなく、集中投資や金利変動リスクへの備えが不十分であったことが問題です。一方で、メガバンクなどは金利上昇を見越して外債ポジションを減らし、日本株などにシフトしていました。これは、資産運用におけるリスク管理の重要性を象徴する出来事といえます。

近年の株価上昇により、金融資産が増えた方も多いと思います。しかし、時間の経過とともに年齢が上がり、当初よりもリスク許容度が下がっているケースもあるかと思います。金融資産が増えると、今度は攻めだけではなく、守りもしっかり固めていくことが重要です。株式が上昇してきた分、株に偏った運用になっている方は少なくありません。そのため、今後の追加投資においては、現在のリスク許容度と、現状のポートフォリオを照らし合わせたうえで実行する必要があります。

近年の株価上昇を受けて「株式の方が増えているから、今後も株式だけに投資したい」「一番上昇しているものに全てまとめたい」という意見も耳にします。しかし、長期投資においては、単に資産を最大化することが目的ではありません。どのような環境下でも、心に余裕を持って日々を過ごすことができ、必要なときに必要なお金を引き出すことができ、自分の人生に集中することができる、そのような運用を目指していきたいと考えています。

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