株式会社スノーボール

プライベートクレジットとリスクへの備え

投資家の間でソフトウェア分野やプライベートクレジット(ノンバンク融資)への懸念が高まっています。

世界的なインフレにより、金融セクターにとっては金利収入が追い風になっている一方、プライベートクレジットファンドやその関連企業の経営破綻や解約停止が昨年から今年にかけて急増しています。

英住宅ローン会社マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)の破綻は金融機関の株価下落の発端となりました。MFSに融資していたとされるジェフリーズやバークレイズ、サンタンデールの損失懸念により3社の株価は下落しました。そして、プライベートクレジット市場が抱える構造的なリスクへの不安が再燃したのです。

他にも、米投資会社ブラックストーンの820億ドル(約12兆9000億円)規模の巨大プライベートクレジットファンドでは、1-3月期(第1四半期)に17億ドルの流出超過となりました。プライベートクレジット業界への幅広い懸念から、ブラックストーンだけではなく、ブルー・アウル・キャピタル、アレス・マネジメントといったオルタナティブ資産運用会社の株価は年初来30%以上下落しています。

プライベートクレジットファンドを保有している顧客や、プライベートクレジット企業に融資している銀行などは一時的に損失が出る可能性があります。リーマンショックのような金融危機までにはならないと思いますが、この種の問題が次々と表面化してきていて、破綻劇は氷山の一角ではないかとの声もあり、注意が必要だと感じています。

思想家のナシーム・ニコラス・タレブ氏は想定外の出来事が社会や金融市場を揺さぶる事象を「ブラックスワン」と呼びますが、タレブ氏が指摘した直近のブラックスワンは、2020年のコロナウイルスのパンデミックと2025年の第2次トランプ政権の誕生です。

「ブラックスワン」に対してどう対処すべきかが重要なわけですが、常に大規模な株価暴落が起きても耐えられるようにディフェンスも固めておくべきです。2023年、2024年、2025年と3年連続で全世界株式指数は上昇してきましたが、蓋を開けてみるとかなり特殊なマーケットでした。M7が指数全体の3割を占めるいびつな構図、まだ利益を出していない米国テクノロジー企業が非常に好調なパフォーマンスで推移したりなどです。

新NISAをきっかけに運用を始めたという方のポートフォリオを見ると、これまで上昇局面しか経験していないせいか、ゴールキーパーのいないサッカーチームのようです。また、運用期間が短い方ほど足元の短期的な運用成績に目がいきがちです。しかし、長期投資において重要なことは、短期的な運用成績でファンドの良し悪しを判断するのではなく、長期的に安定的なリターンを獲得できるかどうかを見極めることなのです。

手数料を支払いたくない、運用コストをできるだけ下げたいという理由からオルカンやS&P500に連動するインデックスファンドの人気が高まっていますが、インデックスファンドだけ持てば投資が上手くいくわけではありません。現状のS&P500やオルカンなどのインデックスは特定の企業やセクターへの集中度が高まっていることを理解した上で投資をするべきです。単に手数料が高いか低いかではなく、運用コストが運用成果(リターン)に見合っているかどうかを見なくてはなりません。

最後に、インフレや地政学リスク、AI、レイオフや個人消費の減速など様々な要因が引き金となり、景気が落ち込む可能性を警戒しています。過去3年間は、何を買っても比較的リターンが獲得できるといった楽観ムードがあったかもしれませんが、今のマーケット環境はとても楽観視できる状況ではありません。改めて、資産配分の重要性が高まっていること、そして『投資は簡単ではない』ことをお伝えしたいです。

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