株式会社スノーボール

長期分散投資の価値

22日のジャクソンホール会議で、パウエルFRB議長は早ければ9月のFOMC会合で利下げに踏み切る可能性を示唆し、市場は9月16〜17日に開く次のFOMCで利下げと受け取りました。

一方で、日銀は1月の利上げ以降、政策金利を半年以上にわたって0.5%で据え置いています。市場は秋以降の利上げを有力視しており、日銀の植田総裁は利上げの継続方針に変化がないことを伺わせました。日米金利の方向性は逆方向となっております。

FRBの利下げ再開への期待の高まりにより、米株式市場でダウ工業株30種平均が8カ月ぶりに最高値を更新しました。企業業績が堅調で投資家は強気の姿勢を示していますが、足元7月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想を大きく上回るなど、トランプ大統領の関税政策の影響でインフレの兆候も出始めており、楽観論が押し上げる株高は過熱リスクもあるといえます。

ダウ平均採用銘柄では利下げによって住宅や建設市場が持ち直すとみて、建機大手のキャタピラーやホームセンター大手のホーム・デポの株価が上昇しました。

その一方で、米小売り最大手ウォルマートが21日に発表した5-7月期決算は売上高が前年同月比4.8%増の1774億200万ドル(約26兆円)、営業利益は8.2%減の72億8600万ドルでした。インフレ下で低価格の商品が売り上げを伸ばした一方、関税コストは吸収しきれていないとの見方から株価は下落しました。ウォルマートは関税を受けて5月に値上げをする可能性があると予告しましたが、トランプ米大統領から価格転嫁を回避するようけん制され、一律の大幅な値上げには踏み切れない状況です。

今月は日経平均も最高値を更新しました。4-6月期のGDP速報値では、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.3%増、年率換算では1.0%増でした。日本経済が堅調な中で日銀が健全な利上げに動くなら、むしろ物価の安定や経済成長の維持につながるとの見方が広がり株価は上昇しました。特に、利上げ観測で銀行株が上昇、関税の影響を受けないエンタメ株も市場をけん引しました。

海外投資家の買いも日本株を押し上げています。脱デフレに向けた企業の価格戦略や市場改革がはじまった2年前から日本株への関心が徐々に高まっていましたが、昨年日銀がマイナス金利政策を解除し、金利ある世界に突入したことをきっかけに、日本株への投資環境が大幅に改善していると感じています。低金利・デフレ・失われた30年からの脱却という大転換から1年、ようやく動きが出てきたのではないでしょうか。

最後の話題にはなりますが、現在世界では関税による景気減速懸念や地政学リスクなど不透明な状況が続いていますが、世界の企業の純利益は2025年4-6月期に前年同期比7%増加し、5四半期連続で増益となりました。AI(人工知能)需要の高まりから米テック大手や半導体がけん引し、底堅さを見せています。

ここで、AI銘柄は一体バブルなのか?という疑問が出てきます。米テック大手のGoogle、Amazon、Microsoft、Metaは2年間、4社だけでデータセンターに7500億ドル(約110兆円)もの巨額な費用を投じる予定です。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究では、調査した企業の95%が生成AIへの投資からまだ何のリターンも得ていないことが分かりました。

米オープンAIのサム・アルトマンCEOはAIバブルが起きているかどうか聞かれたときに、「一部の投資家は大金を失うことになると思う」と答えたそうです。

今の市場は、配当や利息の積み上げが期待できる株や債券の生産的な投資よりも、暗号資産(仮想通貨)のような投機的なゲームに集中しており、世界の債務はGDPの3倍以上に積みあがっています。これは大きな不安要素ですし、私自身恐ろしさを感じているところです。

技術革新が進む一方で、機能不全に陥った金融市場、テック企業による寡占、ポピュリズムの台頭など、今までの様相とは打って変わってきました。まさに大転換の最中であるといえます。

このような企業の明暗が分かれる不確実な状況下においては、特定の国や地域、業種などに投資をするのではなく、今まで以上に幅広い銘柄選択の重要性が高まっています。

長期にわたって安定的に成長する良い資産にしっかりと分散することが大事なのです。

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