株式会社スノーボール

豊かな人生について考える

『資産運用でより豊かな人生を。』

当社が掲げるキャッチコピーであるが、豊かな人生とはどのような人生なのだろう?

一言で『豊かな人生』と言っても、とても曖昧であり、幸福や豊かさに対する価値観は人それぞれであり、とても難しいものである。大きな家に住むことが豊かな人生と考える人もいれば質素倹約こそが豊かな人生と考える人もいる。高級車に乗ることに幸福感を持つ人もいれば、敢えて車を持たないことに幸福感を持つ人もいる。

お客様の人生をパーソナルファイナンスの力でより豊かにすることが出来ればとても嬉しいし、当社のお客様においても資産運用で人生が豊かになったとおっしゃっていただくケースが年々増えていると感じている。

お客様のフローとストックの最適化をサポートすることが当社の使命である。ファイナンシャルアドバイザーは、お客様の年収や支出、資産や負債などの定量的な情報に加え、お客様の価値観や考え方、将来の目標や夢など定性的な情報をしっかりとお聞きし、最適な資産運用プランとオーダーメイドのポートフォリオ提案を行なう必要があるのだ。

特に死という終りがある個人のパーソナルファイナンスにおいては、その人の事を深く理解しなければ良い提案を行うことは難しい。私自身がロボアドバイザー等を信用出来ないのは、ロボアドバイザーがお客様のことを深く理解しているとは思えないからである。

資産形成は、以下の公式に尽きる。

【収入-支出】+【資産×運用利回り】

人的資産を活用して収入を稼ぐ。自分自身の価値を高めることによって収入は増えるが、年齢を重ねると人的資産は逓減していく。人的資産とは、生涯年収額の現在価値であり、どんな人でも年々下がっていくのである。この人的資産の逓減を補完するためにまた、物価上昇(インフレ)で実質的な資産価値が下がらないように資産運用でお金を増やすことが大切である。短期でギャンブルを行うのではなく、長期で安全かつ適切なリスクを取りながら複利で運用することが重要である。個人的見解であるが資産運用の複利効果を実感するのは運用年数が10年を超えたあたりだと考えている。年数が長くなればなるほど複利効果は大きくなるのだ。

この複利効果を最大限に享受できる仕組みが投資信託である。株式や債券投資において個別銘柄を否定するつもりはないが、複利で運用することにおいてはハードルが高くなると考えている。投資信託のように自動的に再投資する仕組みがないためである。

新NISAが始まって今年で2年目となるが、当社のお客様の多くが年間360万円の枠を最大限活用して追加投資を実行している。私もNISA枠を最大限活用していくつもりであるが、月額30万円の投資を行うためには、それなりに稼がなければならない。

それなりに稼ぐためには、自身の仕事で成果を出すために集中する必要があり、当社のお客様もそのような方が多いと感じている。年金生活をしている方は、必ずしもNISAを活用する必要はないと思うが、長生きのリスクを考えれば、出来る限り長く資産運用を継続するべきだろう。私の父も退職金の大部分を投資信託で運用し、兄と私で父の資産を管理している。今年82歳になるが、世の中一般の高齢者とは異なり、金融資産は複利で年々増え続け、経済的に困らない金融資産が残っている。資産運用の成果が経済的な安定に寄与して、父の人生は少し豊かになったと思う。

そんな父の資産はいずれ母に引き継がれると考えていたのだが、2025年1月3日に母(享年82歳)は急逝した。

2025年1月11日から家族8人で川棚温泉に行くことを楽しみにしていたのに。母は愛媛で3人の腕白息子を育て、とても正義感が強い人であった。誰にでも優しく、みんなから愛された人であった。特に子どもの扱いは上手だった。スポーツも好きで健康にも気を使っていたし、お酒もたしなむ程度であった母の突然の死にさまざまな感情が沸き上がり、正直なところ、今もまだ消化できていない状態である。

人生はいつどうなるのか?分からない。人生は長いようで意外と短い。母から、『一日一日を大切にして、自分のやるべきことに集中してベストを尽くしなさい。』と叱咤激励されている気がしている。

母は、保育園などでパートで仕事をする時期もあったが、いわゆる専業主婦として家族を支えてくれた。今振り返ればその存在は家族の中心であった。父の給料を管理する、お金のやりくりも上手であったと思う。母は質素倹約で基本的に贅沢をしなかったが、子育て中に食費だけは惜しまなかったようだ。よってエンゲル係数が高い家計だったのだが、腕白な3人の息子は、3人とも現役で県外の国立大学に進学することができた。息子たちは愛媛を離れ社会人として独立し、家族を持った。母の孫は7人となったが、国内のお産はもちろん、海外でのお産の介抱の際にもマレーシアや北京に一人で駆け付けた。

父には退職金があったが、専業主婦の母には退職金がなかった。母の老後資金が不足しないように7年前から兄弟で母の口座に毎月お金を振り込んでいた。母を支援するというよりは、母に対する感謝の気持ちで始めたことであった。

母の死後、預金通帳を見ると殆どそのお金に手をつけることなく預金残高は振り込んだ金額分が毎月、増え続けていた。母のために送ったお金は、実際に使われることはなかったけれど、母は息子たちから毎月振り込まれるお金に少し安心してくれたと思う。

パーソナルファイナンス的に言えば、日本人はお金を使うことが下手なのかもしれないが、両親の場合は、それとはちょっと違うかもしれない。両親は若い時から3人の息子を育てるため質素倹約を貫き、その習慣のまま年を重ねて最終的には経済的な安定(自由)を得たように思う。苦労もたくさんあったけれど、母の人生は豊かな人生であったと信じている。

ファイナンシャルアドバイザーとして母から学んだことを多くの人に伝えていきたい。

*写真は、母が自宅の庭で撮影したものです。

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