
現在、世界経済は原油ショックによって様々な影響を受けています。
ホルムズ海峡の事実上の封鎖を受けて、2026年の世界貿易の伸び率は1.9%増まで鈍化する見通しです(2025年は前年比4.6%増)。紛争の長期化が不確実性を高めています。特に、東南アジアの主な国はエネルギーを輸入に頼っており、非常に厳しい状況が続いています。例えば、フィリピンは原油輸入の9割超を中東に依存しており、燃料価格の高騰から「エネルギー非常事態宣言」が出されました。
原油価格の上昇はガソリン価格を押し上げ、ひいては輸送費を介して商品価格全体の上昇につながります。そして、物価が上昇する一方で経済成長が減速しているため、各国の金融政策の判断も難しくなるのではないでしょうか。日銀も4月27〜28日の金融政策決定会合で利上げを決めるかが注目されています。
こうした金融政策の動向が、私たちの生活にも直結してきます。最近、同世代の飲み会では「家を買う人が周りに増えているが、早く買った方がいいのか?」という話題が増えました。住宅資金は、教育資金、老後資金とならび「人生3大資金」といわれ、重要であるからこそ慎重に考えたいところです。
住宅ローンの基準金利には固定金利と変動金利がありますが、固定金利は10年国債利回り(長期金利)、変動金利は短期プライムレート(短プラ)が基準となります。4月13日の国内債券市場で、固定金利の基準金利の指標となる長期金利は一時2.490%と29年ぶりの高水準を付けました。
一方で、変動金利の基準金利の指標となる短プラは、日銀の政策の影響を受けます。長らく続いたマイナス金利政策下では短プラに大きな変化はありませんでしたが、2024年3月にマイナス金利を解除し、日銀は追加利上げを実施しています。日銀の政策金利引き上げは短プラ上昇に直接つながります。実際に、2025年12月に日銀が政策金利を0.75%と30年ぶりの水準への引き上げを決め、多くの銀行が短プラの引き上げに動きました。
こうした現在の金利水準や金利のしくみを理解しないままに「今後も住宅価格が上がって買えなくなってしまいそうだから早めに買っておきたい。」「同世代の友人も買っているからきっと大丈夫だろう。」という理由で、早めに家を買いたいという考えの方が増えていることに危機感を覚えます。
実際に、20代のローン残高は増加しています。共働きや賃上げなどの後押しもあり、ローンが借りやすくなっていることも一因かと思います。しかし、デフレが長く続いた日本では金利のある世界を経験している若者がいませんし義務教育の過程で学んでこなかったため、金利は上がるものということを知らずこのような現象が起きているのだと思います。
20代はライフスタイルが大きく変化する可能性があり、焦りは禁物です。そして、金利について深く理解し、金利が上昇したとしてもローンを返済できるだけの余裕があるのかということをお伝えしたいです。また、売却することを前提に買うという選択は、売却時に不動産価格が下落している可能性もあり大変危険です。
私個人の意見としては、一生ここに住み続けたいと思える場所が見つかり子どもの人数が確定するまでは、お金を貯め、余裕資金を運用に回し、資産を増やしていこうと考えています。ある程度まとまった資金がないと運用でもなかなか増えていかないため、住宅を購入するタイミングについてはじっくりと考えていきたいです。
人生において何に重きを置くのかは人それぞれのため、優先順位の高さに住宅が挙げられるという方は良いと思うのですが、金利のことを深く知らずにタイミングや判断を見誤ることだけは避けていきたいところです。