
今年に入ってから世の中の情勢は目まぐるしく変化しています。2026年1月2日深夜から1月3日未明にかけてアメリカ軍はベネズエラの首都、カラカスを攻撃し、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拘束し、ニューヨークに移送しました。この出来事は世界中に衝撃を与えました。ベネズエラでは過去10年間で全人口の4分の1にあたる約800万人が国外に流出しています。私自身も米国在住のベネズエラ人の友人がいますが、彼らはこの出来事に歓喜していました。
中南米は世界の中でもとても特徴のある地域です。私は、2023年6月にカナダの高校時代の友人がいるコロンビアを訪れました。皆様が持つ南米のイメージはどのようなものでしょうか。多くの方々が治安の悪さをイメージすると思います。確かにコロンビアの治安は日本よりも圧倒的に悪いです。しかし、2000年ごろのピーク時から治安は大幅に改善されました。
私はカルタヘナとボゴタの2つの都市を訪れました。カルタヘナは1811年にスペインから独立した「英雄都市」です。カルタヘナの港、要塞、歴史的建造物群はユネスコ世界遺産に登録されていて、私がこれまで訪れてきた世界遺産の中で一番美しかったと思います。首都のボゴタは標高2640メートルに位置する都市で政治・経済の中心です。滞在中は細心の注意を払っていたため、特に身の危険を感じることはありませんでした。また、カルタヘナは外国からの観光客も多く、コロンビアの中では比較的治安が良い都市として知られています。コロンビアの滞在前と滞在後で中南米のイメージが自分の中で大きく変わりました。
これまで中南米では、習近平国家主席が2013年に提唱した「一帯一路」構想に基づき、中国が積極的に関与していました。2018年以降、中南米の約22カ国が「一帯一路」構想に参加しています。2024年にはペルーのリマ郊外に位置するチャンカイ港が開港し、南米とアジアを結ぶハブ港としての役割を担っています。しかし、この構想は必ずしも上手くいっているとは限りません。中国への過度な依存や債務問題は、デフォルト(債務不履行)リスクや一部の参加国の反中感情に繋がっています。
米国のベネズエラ攻撃を機に中南米情勢は変化しています。トランプ大統領は「ドンロー主義」を掲げ、裏庭の中南米で積極的な関与を続けています。「ドンロー主義」とは、トランプ大統領自身の名前である「ドナルド」と南北アメリカ大陸を含む西半球から敵対勢力を排除する「モンロー主義」を掛け合わせた造語です。米国はベネズエラの友好国であるキューバに対しても石油供給の遮断などで圧力を強めています。
個人的に、今後も多方面での米中覇権争いは激しくなり、世界は引き続き地政学リスクに晒されると思います。足元では、基軸通貨であるドルの信認が揺らぎ、一部の投資家は代替資産である金に資金を動かしました。株式市場は地政学リスクに影響され、一部では投機的な取引が行われています。私は長期投資家として重要なのは目先の値動きに一喜一憂せず、長い期間で物事を見ることだと思います。市場の下落局面でも淡々と追加投資をすることで将来の目標リターンに近づくことが可能になります。