
今年もあと僅かとなった。2025年は、世界経済において大きな転換点であった。個人的に2025年は、1989年のベルリンの壁崩壊の年以来の大きな転換点と位置付けている。ベルリンの壁崩壊後の米国中心のグローバリゼーション拡大は、終焉した。トランプ政権の関税政策によって世界の貿易システムを破壊され、今も方向感の見えないまま迷走している。米中対立のみならず日中関係の悪化なども含め、世界の混迷はますます深まっているようである。
このような環境下、ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として顧客の大切な資産を守るために柔軟かつ一貫したアドバイスが必要である。行動ファイナンス理論によると、人間はなかなか合理的に判断し、行動することが難しい。自身の大切なお金であるがゆえに、冷静な判断が難しいのである。株式市場が上昇すると投資したくなり、下がると恐怖感から売却したくなるのである。本来であれば株式は、安く買って高く売るべきであるのに、全く別の行動をとってしまうのである。NiSAやiDecoなどで投資家の裾野が若い層に広がっていることは素晴らしいことであるが、金融リテラシーや人的資産の面は、全く以前と変わっていないか逓減しているようにも思える。
ファイナンシャルアドバイザー(IFA)ではなく、ユーチューバーらの信頼性の低い情報を基に投資をする人は相変わらず多く、真の賢明な投資家は育っていないように思うのだ。
当社のお客様から預かる投資資産残高は、先月末時点で240億円を超えた。投資期間が一番長い人は約20年で一番短い人は1週間である。370名のお客様の投資期間はさまざまであるが、240億円の残高のうち、約110億円が投資リターンとなっている。
当社は、『資産運用で、より豊かな人生を。』というフレーズを掲げているが、時間と複利効果によってその目標に一歩ずつ近づいていると感じている。スノーボール(雪玉)を時間と複利効果で大きくしていくことが私たちの使命である。
最近、ご紹介で20代や30代前半の人に会う機会も増えているが、そもそもこの世代の人は、通常多くの金融資産を持っていない。少ない資産でビットコインや怪しげな金融商品に投資している人も多く、彼らが長期的に資産形成で成功する確率は殆どゼロである。若いうちにNISAなどで投資信託の積み立てを行うことは良いと思うが、特に20代は、自分の仕事に集中して、人的資産を高めていくことに集中したほうが間違いなく良いだろう。
仕事中にスマホでチラチラ株価をチェックしている人が、仕事で成功することはまずない。(一部の金融業界の人を除いて。)仕事に集中することなく(人的資産を下げる)、少ない金融資産で運用(そもそも効果が小さい、あるいはマイナスである。)するといった悪いスパイラルの人をたくさん見てきた。対照的に当社のお客様の殆どは、若い時に人的資産を高めた後に余裕資金で正しい方法で運用を開始した人である。
資産運用は、出来るだけ早く始めたほうが良いという意見もあるが、私は決してそう思わない。人的資産を高めることによって収入が増える人は、賢い支出を行なえば自然とお金が貯まるのである。余裕資金が出来てから、正しいやり方で投資を継続することが何よりも大切であると感じている。
当社のお客様の多くは、ご自身の仕事に集中している。集中することの成果として収入が高くなり、余裕資金が生まれ運用資金が増えるのである。賢い人は自分の能力が万能でないことを理解しており、自分で運用するよりも私たちファイナンシャルアドバイザーに任せた方が良いということを理解している。経営者が優秀な税理士をブレーンとして活用することと同様である。
話は変わるが、昨今の証券口座乗っ取り事件において、担当者のいないインターネット口座のリスクが浮き彫りとなっている。インターネット口座は、投資信託や株式の購入時の手数料が安いというメリットがあるが、証券口座乗っ取りによる被害によって本人以外、誰も管理していないことが明らかとなった。また被害額の金銭補償が50%(大手証券は100%補償であった)ということを考えれば、安かろう悪かろうと指摘されても仕方ないだろう。最近、対面によるアドバイスが見直されているというのは、当然の流れだろう。
ファイナンシャルアドバイザー(IFA)がサポートする価値は、お客様が負担する費用以上の価値を提供することである。約1万人近いIFAの全てが信用できるとはとても言い難い。しかしながら長期投資を成功させるために質の高いファイナンシャルアドバイザー(IFA)を活用することは、非常にリーズナブルかつ合理的であり、最適な方法であると確信している。