株式会社スノーボール

世界同時株高

米ハイテク企業による株高の影響で、日経平均株価は連日で高値をつけました。

今まではマグニフィセント・セブンと呼ばれる米テック企業7社が相場をけん引する構図でしたが、最近はそれらの企業に加え、米オラクルやソフトバンクグループ(SBG)などもけん引役となり、一部の銘柄に集中していたところから幅広い銘柄が上昇するような相場に変わってきているのです。

9月11日の日経平均の終値は前日比534円(1%)高の4万4372円と初めて4万4000円台に到達しました。日経平均を押し上げた銘柄の上位5社は全てAI市場の拡大に伴う業績成長が期待される銘柄で、その中でもSBG株は10%上昇し上場来高値をつけ、日経平均の寄与は上げ幅全体の6割(329円)に達しました。

株価上昇のきっかけは、9月10日の米国株市場にあります。オラクル株が一時43%まで急騰し、時価総額は9222億ドル(約136兆円)に急増しました。オラクルはAI向けにネット経由でサーバーなどを提供するクラウド事業を手がけていますが、9月9日発表の2025年6-8月期の決算で同事業を中心に受注残が3カ月前の3倍に増えたと明らかにしたのです。受注残増は、先々の売り上げ見通しが立ち、安定した経営の実現が期待できるという側面があります。また、良好な受注残は顧客からの信頼の証でもあり、投資家にとってもポジティブな評価材料になると考えられています。さらには、米オープンAIが主要顧客として名を連ねており、高成長への期待が高まっています。

米オラクル創業者で会長のラリー・エリソン氏は株価急騰により、9月10日に世界トップの富豪になりました。エリソン氏の純資産は一時3930億ドル(約58兆円)に達し、米テスラのイーロン・マスク氏の3850億ドルを超えました。

他にも、AI相場が勢いづいた背景には米連邦準備理事会(FRB)が開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で9カ月ぶりに利下げに踏み切ることが確実視されていたことにあります。金利低下が株価を押し上げる「金融相場」がさらにAI関連銘柄を押し上げているのです。

9月18日にもAI関連銘柄に買いが集まり、日経平均株価は初めて4万5000円の大台に乗せました。世界的な投資マネーの膨張、AI銘柄の成長期待で世界で株価上昇が続いています。米国は昨年9月から利下げに転じ、欧州中央銀行(ECB)は昨年6月から政策金利の引き下げに動きました。そして、日本の利上げペースは鈍いといった状況です。日本は長く続いたデフレから脱却し、インフレが定着しつつあります。企業統治の改善も日本株が再評価されるきっかけとなり、海外投資家からの買いを集めました。このような環境が株価を押し上げたのです。

このような株価上昇局面で「相場に置いて行かれたくない」「自分も乗っかっていきたい」「高いリターンを獲得したい」という気持ちが芽生えるのは自然なことではありますが、こういった状況のときほど慎重になる必要があると考えています。「悲観の中で生まれ、懐疑の中に育ち、楽観とともに成熟し、陶酔の中で消えていく」という相場の格言がありますが、相場と感情は分けて考えなくてはなりません。上昇局面のときほど、適切なリスク管理ができているかどうか確認することが大切です。株価上昇局面についていけたとしても、下落局面で大崩れしては元の子もありません。上昇局面ではほどほどについていき、下落局面ではしっかり下げを抑えられるようなポートフォリオを検討することが理想です。

最後に、9月18日に日銀が発表した2025年4-6月期の家計の金融資産は、前年同期比1%増の2239兆円で過去最高になりました。そのうちの6割前後を60歳以上の世帯が保有しているといいます。日本の家計の金融資産は高齢者に偏っていますが、物価高と株高の影響で高齢者世代の資産額の二極化が進んでいます。60歳代の単身世帯のうち金融資産ゼロは全体の27.7%、ゼロを含む200万円未満が42%でした。一方で、3000万円以上の資産を持つ世帯の割合は24年に16.8%と0.3ポイント増えました。資産家は株高の恩恵を受けやすいため、格差が広がりやすい状況です。当たり前のことではありますが、良い資産にまとまった金額で長く運用すると資産を成長させやすくなります。

長く続いたデフレの時代が終わり、インフレの時代が到来しました。物価が上がり、貯金の習慣がある人とない人では、金融資産の差はどんどん開いてしまいます。余裕資金を増やすことが今まで以上に難しい環境になっており、お金を貯める努力もよりいっそう必要だと改めて実感しています。金融資産を増やすために収入を増やすことも大事なことではありますが、支出を抑えることが与える効果にも、もっと目を向けるべきだと考えています。特に若い世代の方に多いのですが、毎月の支出を把握しておらず投資機会を逃していることにさえ気づいていないといったケースも多々あります。

我が家では、無駄遣いを減らすために以下の対策をとっています。

①スーパーで余計なものを買わないよう冷蔵庫の中身を必ず確認してから買い物に行く

②足りない食材をメモに書き、たとえ安売りになっているものがあってもメモに書いたもの以外のものはなるべく買わない

③スプレッドシート(作成した家計簿)に何にいくら使ったかを都度入力し、月末に確認する

ちなみに、③はお客様に教えていただいたアイディアで、翌月に反省を活かすことができるので一番効果を感じています。

今を楽しみつつも、締めるところは締めるといったバランスを大切にこれからも頑張っていきたいところです。

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