株式会社スノーボール

資産配分の重要性

2024年の新NISA制度開始もあり、積立て投資をはじめとして、より多くの人が金融資産に投資をするようになりました。

投資の性質上リスクをどのように抑制できるか、ということは重要な要素の一つです。そこで今回は、資産配分に関する実際の事例をみながら、どのような対策ができるのか、資産運用に役立つ部分をご紹介します。

まずはGPIF(公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人)についてです。GPIFは、将来の年金給付に必要な資金を確保するために、長期的な視点で300兆円という巨額の運用を行っています。

注目すべき点は、ポートフォリオの変遷です。ポートフォリオとは、国内外の株式、債券、オルタナティブなどを組み合わせた資産配分のことです。かつて20年前のGPIFはポートフォリオ全体の約70%を日本国債に投じていました。国民の生活を支える年金を安定して運用するには適切だと判断したためです。しかしながら、低金利状態が長く続いた影響で収益性は冴えない結果に。そこで、5年に一度の見直しのタイミングで、定期的に国債より収益性の高い株式比率を増加させてきました。2025年度の見直しの際にも、インフレ下において株式比率を高めるべきか否かという議論が行われましたが、株式比率はそのまま据え置き、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券の各25%ずつの配分で維持していく方針が今年3月に発表されました。

大きな理由としては、不確実性の高まりです。昨年末にトランプ政権が誕生し、関税政策やウクライナ侵攻の停戦協議など、毎日のように世界各国が翻弄されています。もちろん日本もその国の一つです。突如として現れた政治的なリスクに対して、GPIFも予定通り株式比率を高めるのではなく、4つの資産クラスを均等に配分し、基本ポートフォリオを現状維持としました。

このような不確実性に対して、株式のみのポートフォリオでは価格変動リスクにさらされてしまいます。初めに目標とする利回りを定め、資産クラス(株式、債券)のバランスを保っていくことが、長期で資産を守るために大切です。

また、3月14日の日経新聞では、地方自治体が債券運用にあたって多額の損失を被ったことも取り上げられました。例えば、新潟県では146億円の含み損が出ています。背景としては、日銀の利上げによる影響です。記事内では6府県に着目されていましたが、ほとんどの府県で基金全体の半分近くを国債で運用していたことが共通していました。損失に伴い、災害時等の緊急時に即対応できる現金が不足しかねないという懸念も同時に高まりました。

これらのことから、マーケットの状況に合わせた資産配分の重要性がわかります。

一定の黄金比が存在するわけではなく、個々人のリスク許容度や資産状況、ライフイベントを勘案し、目標利回りを定めます。不確実なマーケットかつSNSなどで情報が溢れる混沌の中で、一貫して長期投資を続けることは簡単ではありませんが、適切な資産配分でリスクを分散させることは可能です。私たちIFAがお客様を長期的にサポートができる強みはここにあると思います。お客様の資産を守り、長期的な視野で資産運用を成功させるお手伝いができますよう、ご支援を続けてまいります。

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