今回はインデックスファンドとアクティブファンドの違いや、結局のところどちらがいいのか?などというようなよくあるご質問について書いていきたいと思います。
インデックスファンドは、日経平均株価やS&P500種株価指数といった指数(インデックス)などあらかじめ定めたベンチマーク(基準)に連動する運用成果を目指すファンドです。
一方でアクティブファンドは、ベンチマーク(基準)を上回る運用成果を目指すファンドです。中にはベンチマークを定めないアクティブファンドも存在しますが、より高い超過収益(α)を追及するためにファンドマネージャーやアナリストが企業の経営陣を訪ね、直接対話をするなど、様々な方法で企業のリサーチを行っています。もちろんリサーチにおいても運用会社によって手法や質が異なります。
さて、インデックスファンドとアクティブファンドの違いで一番注目されること、それは運用コストです。ファンドマネージャーやアナリストが企業に直接足を運んで調査・分析を行うアクティブファンドに比べて、コンピューターで自動的に指数に連動させて運用するインデックスファンドは信託報酬(投資信託の管理・運用費用)を低く抑えられます。
近年、書籍やネットの情報を見て「とりあえずコストの安いインデックスファンドだけを買っておけばいいんだ」といったやや安易な考えが散見されます。特に新NISAがスタートしてからは、「オルカン」「S&P500」のワードが溢れており、多くの投資家が殺到している感じさえします。
資産運用ビジネスの発展に貢献してきたチャールズ・エリスの『敗者のゲーム』の中にも「短期的にはマーケットに勝つことのできる投資信託はあっても、長期にわたって市場平均以上の成績を出せる投資信託はきわめて限られている。結局のところ、運用機関が市場に勝てないのであれば、市場を忠実に反映する、つまり市場に負けないインデックス・ファンドへの投資を考えてみるべきだ。」と書かれています。
忙しい日々を送っている方からすると、個別の銘柄を買うことは自分で多くの時間を勉強に充てなければならず、リスクも高くなるためハードルが高いです。となると、投資先が分散されており、指数に連動するインデックスファンドを買うという選択肢も理解できます。ただ、チャールズ・エリスはインデックスだけ買えば良いと言ってるわけではありませんし、まだインデックスファンドが世の中に浸透する前にインデックスファンドの優位性を伝えたのだと思います。
「インデックスバブル」という言葉があるように、個人投資家も機関投資家も、猫も杓子もインデックスファンドに群がるとどうなるのでしょうか。毎月膨大な資金がインデックスファンドに集まり続けると、指数に組み込まれている銘柄は業績に関わらずインデックスファンドを通じて買われる結果、株価は割高になるかもしれません。インデックスファンドが株式市場のバブルを助長しかねないと考えるのです。
実際に、昨年はS&P500種株価指数のうち、上位7社のマグニフィセントセブン「Google、Apple、Meta Platforms(旧Facebook)、Amazon、Microsoft、TESLA、NVIDIA」だけで全体の3割を占めました。これは非常にいびつな状態で、米国企業500社にしっかりと分散されているとは言い難い状況でした。インデックスファンドを保有している方は、長期投資を目的としている方がほとんどかと思いますので、結果として上位に組み入れられている銘柄を買い上げていくことに自然と加担することになっているのです。
そのため、とりあえず買っておけばいいというような安易な考えで投資をすることは危険であり、資産運用での本当の成功は難しいと考えます。投資はそんなに簡単ではないと思うのです。
アクティブファンド全体で考えると運用コスト分インデックスファンドを下回ってしまうと言われています。市場平均を上回る良いアクティブファンドは少ないのは事実ですが、手数料控除後にインデックスを超過するリターンをあげるアクティブファンドも一定数存在します。
長期投資を成功させるためにファンド選択は非常に重要なのです。
結局のところ、インデックスファンドとアクティブファンドではどちらがいいのか?という論争はよく繰り広げられるのですが、どちらの方がいいという結論ではなく、状況によって使い分けることが大切かと思います。
つまり、2009年のように株式市場全体が割安であるときはインデックスファンドは有効だと思いますが、現在のように株式市場全体が割安ではない状況においては変化に対応出来るアクティブファンドが有効だと考えます。
ですから、昨今のインデックスファンドだけ買っておけばいいんだという考えには違和感を覚えてしまうのです。インデックスファンドとインデックスに勝てるアクティブファンドを使い分ける投資家が賢明な投資家だと感じています。