株式会社スノーボール

世界経済とマーケットの現状

早いもので今年も1カ月余りとなった。当社スノーボールが本格的にスタートしてまもなく1年となるが、おかげさまでお客様からお預かりしている資産残高が200億円を超えた。新規のお客様の投資資金と既存のお客様の追加投資、そして運用資産の値上がりによって1年前から約60億円増となった。お客様の大切なご資産をお預かりする当社スノーボールの責任も年々大きくなっている。

昨今の世界経済とマーケットは、決して順風満帆とはいえない。アメリカ経済のスローダウンにより、FRBは9月に0.5%、11月に0.25%と2度にわたり利下げを実施。依然としてアメリカの物価は高止まりしているが、パウエル議長は、景気後退を避け、経済のソフトランディングを目指し、金融政策の転換を図った。一方で日銀植田総裁は、7月末に2008年以来、実に16年ぶりに0.25%の利上げを決定。

アベノミクス、黒田バズーガ時代からの脱却をはかるべく、金利正常化の一歩を踏み出した。この日米の金融政策姿勢にマーケットは過剰反応した。真夏の8月5日、日経平均株価は4451円(12.4%)安。下げ幅としてはブラックマンデー超えの史上最大となった。円は急伸し、7月中旬の1ドル161円から140円と僅か1カ月足らずで約20円の円高ドル安となった。その後、大統領選挙でトランプ圧勝後には減税と関税が意識され、米長期金利は上昇し、円安ドル高基調で推移している。

総じて2024年は、株式市場も債券市場も為替市場も大きく変動し、マーケットはボラティリティの高い1年であった。世界経済も楽観視できる状況ではない。世界第二位の経済大国である中国は、各種景気指標から見るとデフレ状況に陥っている。中国政府は、経済のテコ入れを行っているが、米中摩擦に加え、世界的なサプライチェーンの再編によってグローバル経済から遮断され、包囲されているようだ。欧州経済も厳しい状況である。高級ブランド仏LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンも4年ぶりの減収、独フォルクスワーゲン(VW)は、ドイツ国内の3工場の閉鎖を検討している。

ドイツ政府は2024年の実質成長率をマイナス0.2%としており、2年連続のマイナス成長は、1990年の東西ドイツ統一以降、2000年代初頭に『欧州の病人』と呼ばれた時に続いて2回目。ロシアの安価なエネルギーと中国市場の拡大に頼った成長は、限界を迎えている。

さてトランプ政権の準備が進むアメリカ経済においてはハードランディングあるいはソフトランディング、ノーランディングとの議論があるが、現時点ではハードランディングの可能性は極めて低くなった印象である。米経済は、ソフトランディングもしくはノーランディングのシナリオが濃厚であると考えているが、マーケットに懸念がないということにはならない。

ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイは、アップル株の保有株式数を3か月間で25%減らし、バンク・オブ・アメリカ株など金融株の保有を減らした。手元資金は9月末に前年同期比で倍増して3252億ドル(50兆円)と総資産の30%となった。手元資金のほとんどは米財務省短期証券(Tビル)で他の債券投資を合わせると債券投資額は9月末時点で3040億ドルとなり株式投資額の2716億ドルを上回った。(日経新聞から引用)形式上、バークシャーは債券を主な投資対象とする機関投資家となり、これはITバブルの2001年~2002年以来、22年ぶりの事態とのこと。

このキャッシュ比率を高めるバフェットの投資行動には、さまざまな憶測があるのだがバフェットには、今の世界の株式市場が割高に映っていることは間違いないだろう。ITバブル時は、バフェットの読み通りに割高であったドットコム関連銘柄は大きく崩れたが、今回はどうだろう?私たち個人投資家はこのような局面でどのように対応するべきだろう?

世界有数の運用会社と多数ミーティングを行なっているが現在の株式市場は全体的に割高であるとの見方が大半である。また近年の株価上昇はマグニフィセントセブンなど少数の銘柄が主導した結果、直近でS&P500指数に占めるマグニフィセントセブン(7社)の時価総額は31%を超えている。分散投資しているつもりが30%超を占めるマグニフィセントセブンの株価次第というのがS&P500の現状である。MSCIオールカントリー(全世界株式指数)も似たような状況であり、このようなマーケットでS&P500やオルカンなどインデックスファンドに投資をすることは、分散効果が低く、リスクは高くなる。よってインデックス一辺倒の投資はお勧めできないのである。

また株式のみならず、『金利のある世界』においては債券投資の重要性が高まるだろう。金利のない時代においては債券投資の妙味が乏しかったが、これからは違う。リスク許容度に応じて、ポートフォリオに一定の債券ポートフォリオを組み込むべきである。マーケット全体が割安な時は、コストの安いインデックスファンドを有効に使うべきであるが、マーケット全体が割高な状況においては銘柄選択がより重要になってくるため、目利きの出来るアクティブファンドを選ぶことがより有効である。NISAやIdecoでインデックスファンドを使って積み立てをすることは投資の一歩としては良いと思うが、それだけで成功できるほど投資は簡単ではない。時代が大きく変化している今、投資においても変化への対応が重要である。

アメリカでは、ファイナンシャルアドバイザーがお客様のポートフォリオ管理をサポートすることが主流であり、当たり前となっている。良いアドバイザーが良い顧客に良いポートフォリオ、良い商品を提供して、投資を成功に導いているのだ。これから当社が成長することで少しでも長期投資の文化を日本にも根付かせたい。

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