
最近、金(ゴールド)やビットコインのように、継続的な収益(インカム)を生み出さない資産に投機的な資金が集中し、価格が急騰する現象が見られました。ニューヨーク市場で金先物価格は1月29日に一時5600ドル台まで上昇し、今年に入り3割近く上昇していました。その際に、著名投資家から「バブルはAIではなく、金で起きている」という警鐘も鳴らされました。
米国によるベネズエラ攻勢、イランでの反政府デモの拡大、FRBの独立性の低下を懸念したドル安といった材料が相次ぎ、金相場にとって年初から追い風となっていました。しかし、1月30日にニューヨーク市場で金先物の下げ率は1割を超え、1日としては1980年以来の大きさとなりました。その後も価格変動の激しさが浮き彫りになっています。
過去のチューリップバブルの例(前回のコラム)からもわかるように、金やビットコインなどの安定したキャッシュフローを生み出さない資産は、短期間で過熱しやすく、バブル崩壊のリスクが常に伴うため、注意が必要だと感じています。
これまで、基軸通貨であるドル1強の揺らぎや世界的なインフレにより、お金の価値が相対的に低下するため、金やビットコインが上昇してきました。ですが、ここ最近の過熱感は異常なものでした。他にも、絵画、ハイブランド品、高級ワイン、トレーディングカードなどインカムなき資産は様々ありますが、共通して安定したキャッシュフローは生みだしません。
このような相場環境では、目先の値上がり益(キャピタルゲイン)だけを追うのではなく、複利効果を味方につけた長期的な資産運用が何よりも大切です。
短期的な為替の変動や株価の値動き、市場のタイミングを計ろうとする行動は、長期投資においては、後から振り返るとあまり意味がないことが多いものです。特に、為替相場は予測が極めて困難です。目先のノイズに振り回されることなく、時間を味方につけることが長期投資を成功させる鍵となります。
今回は短期間で急上昇する金に特に注目が集まりましたが、特定の資産に偏らず、インフレに強い複数の資産を組み合わせ、「インカムなき資産」は資産全体の一部にとどめておくといった正しい分散投資が重要かと思います。資産総額によっては持つべきではない方もいるかもしれません。
現在は世界的に金利が高い状況にあるため、安定的なインカム収益を生み出す資産の価値が高まっています。具体的には、債券の利息や高配当銘柄などの継続的なインカムが、世界経済が不透明な今、ポートフォリオを下支えしてくれると考えています。これまでは「守りの資産」という意味合いが強かった債券も利回りが比較的高くなっているため、現在は積極的な意味でも保有する価値があるといえるでしょう。
最後に、経済学者アダム・スミスの言葉にあるように、私たちは自分の能力を過信し損失の可能性を過小評価しがちです。感情に流されず、継続的なインカム収益を積み上げ、冷静に資産を育てる運用を心がけましょう。